スイスの卓越したウォッチメゾンの中でも、特に複雑機構を得意とするジャガールクルトは、2023年もため息が出るようなコンプリケーションを発表しました。
2023年のテーマは「黄金比」。
ジャガールクルトの人気こコレクション・レベルソが誕生した1931年は、アールデコ芸術運動が華やかなりし時代です。
レベルソ自体はポロ競技中に腕時計の風防や文字盤が破損しないために、「ひっくり返る・反転する」(ラテン語:Reverso)機能を備えた腕時計として誕生しました。
しかし、そのデザインにはアールデコの象徴のひとつ、黄金比が大きく関わっているのです。
1人の天才技師が生み出したジュウ渓谷ル・サンティエの「機械技術工房」、ジャガールクルトの新作をご紹介します。
ジャガー・ルクルト レベルソクラシック ミディアム デュオ スモールセコンド Q2458422
角型時計の代名詞である「レベルソ」。
反転するケースを巧に活かして、表と裏側で全く表情の異なるデザインにしてあります。
こちらの「レベルソクラシック・ミディアムデュオ」では、自社製手巻き式ムーブメントのキャリバー「854A/2」を搭載し、一つのムーブメントで表・裏両方の時計を稼働させています。
第二時間帯を表示可能なブラックダイアル側には24時間表示を搭載し、デイ&ナイトの確認も瞬時に行えます。
レベルソ ハイブリス アーティスティカ キャリバー 179 は、近年におけるジャガールクルト新作の代名詞となっている、多軸トゥールビヨンを搭載した特別な1本です。同メゾンの多軸トゥールビヨンは第4作目となり、その技術はより卓越したものとなりました。
搭載されているCal.179にはめ込まれた多軸トゥールビヨンは、レベルソの表からも裏面からも完全に回転している姿を見ることができます。
ダイアル垂直方向に回転する軸にはペリフェラルキャリッジ、直交する軸にはジャイロラボや半球形に盛り上がったひげぜんまいが取り付けられ、それぞれが回転します。
ペリフェラルキャリッジは秒表示として機能します。半球形のひげぜんまいは見た目が斬新なだけでなく、精度の高さや作動効率の面でも計算され尽くした技術の粋です。
デュオフェイスコンプリケーションでもある同機は、表と裏で異なるタイムゾーンを表示できます。反転させた背面では、二番目のタイムゾーンを24時間表示することが可能です。
ジャガールクルトがリリースする渾身の多軸トゥールビヨンは、常に私たちメカニカルファンの度肝を抜いてきました。
今回のフライングトゥールビヨンは123の部品で構成されており、ボールベアリングで支えることで独特の浮遊感を生み出しています。
数字が刻印されている外周ムーブメントは1分間に1回転し、さらにラッカー仕上げのブルーディスクから反射する光によって、神秘的な印象もプラスされます。様々な軸を持つ円と球が、それぞれの速度と傾きを保ちながら回転する様は見る者を蠱惑します。
なお、この多軸トゥールビヨンは史上最速で、インナーケージは16秒ごとに1回転するとのこと。それと同時に半球体に盛り上がって巻かれたブルーのひげぜんまいが、まるで生き物のように伸縮するのです。
ボールベアリングで支えられたトゥールビヨンは、シースルーケースと回転軸の妙で、浮き上がっているように見えます。
浮いたまま回転し、生き物のように鼓動する……それは、地球をはじめとする惑星の姿を彷彿とさせるものです。